世界中でWeb3(Web3.0)への注目が集まり2022年は「Web3元年」ともいわれています。徐々に社会に浸透しつつあるWeb3は、従来のインターネットが抱えていた課題を解決し、人々の生活をより良いものに変える可能性をもっています。
本記事では、Web3の概念や従来のインターネットとの違い、メリット・デメリット、具体的な技術や活用されている事例をまとめました。
私たちは今後も永く、インターネットと向き合って生きていく必要があります。しかし、IT技術は日々進化しており、まさに今時代の転換点を迎えようとしています。時代の流れに取り残されることなく恩恵を十分享受できるよう、今のうちに次世代のインターネットについて理解を深めておきましょう。
Web3(Web3.0、ウェブスリー)とは?
まず前提として、Web3の概要から説明します。また、従来のWeb1やWeb2がどのようなものだったのか、その変遷も振り返りましょう。
Web3(Web3.0)は次世代の分散型インターネットのこと
Web3(Web3.0)とは、インターネットにおける新しい概念であり「分散型インターネット」とも呼ばれます。
これまでは、インターネットの普及を牽引してきたGAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft)をはじめとする巨大テック企業が管理するプラットフォームを、個人や企業が利用していました。
Web3.0では従来と異なり、ブロックチェーン技術によってインターネットの管理体制を個人に分散します。つまり、巨大テックのシステムを介さずに、ユーザー同士でコンテンツやデータ、金銭のやり取りの実現を目指しています。
Web1.0・Web2.0との違い
Web1(Web1.0)とは
Web1(Web1.0)は「一方通行のインターネット」が主流だった時代を指します。1990年代半ばから2000年代前半のインターネット黎明期であり、主なデバイスはデスクトップパソコンでした。
通信にはダイヤルアップと呼ばれる電話回線を使用しており、インターネットの接続速度は今よりも格段に遅く、まだまだインターネット回線は発展途上でした。画像の処理は時間がかかるため、コンテンツはテキストや静止画が中心です。
主な目的は「情報の閲覧」であり、ホームページを活用して個人で情報発信を行っていたのは、ごく一部の人しかいません。また、チャットのような双方向の通信はまだなく、メールをはじめとする一方通行の通信を行っていました。
Web2(Web2.0)とは
2000年代半ば頃からは「双方向コミュニケーションのインターネット」の時代に突入します。Web2では高速通信の実現により、双方向の通信が可能となりました。主体となるデバイスもスマートフォンへと変わり、常時インターネットに接続できる環境が整備されます。
同時にインターネットの目的は「情報の閲覧」から「情報の交換」へ移行し、SNSやチャットの普及、画像・動画の配信といったサービスが生まれます。また、GAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft)が台頭し始めたのもWeb2からです。
現在私たちが使っているWebサービスや技術は、Web2で生まれたものがほとんどです。さまざまなものがインターネットに接続され、人々の暮らしが便利になった反面、企業による個人情報の取り扱いやセキュリティ管理といった課題も生まれました。
Web3(Web3.0)の特徴とは?
Web3にはどのような特徴があるのかを紹介します。
Web3(Web3.0)の特徴の例
個人情報を自己管理できる
Web2の代表的なサービスであるSNSやECサイトなどは、利用時に個人情報を登録する必要がありました。登録されたユーザーの情報は、サービスを提供している企業のサーバーで管理されるのが一般的です。
Web3では、まったく新しい情報管理の形である「ブロックチェーン技術」の活用により、各個人が安全にデータを管理できるようになります。また、従来では個人の検索・購入履歴などから、嗜好に合わせた広告が自動で表示される機能がありました。今後はそれらの可否を、各自で選ぶのが一般的となるでしょう。
セキュリティの向上
上記で述べたように、Web3ではブロックチェーンにより取引履歴などの情報が暗号化されること、個人情報の管理体制が分散されることで、セキュリティが向上します。従来では企業のサーバーに個人情報が保管されており、外部からのハッキングや担当者の誤操作による個人情報流出のリスクがありました。
Web3では情報が暗号化され、サービス運営者への情報提供も不要となり、流出・悪用のリスクが低減します。同時にこれまで問題視されていた、個人情報の売買もできなくなります。
取引において仲介役が不要に
サーバーを介する取引が不要となるので、個人間や個人・企業間などの取引でも、直接やり取りが可能です。従来ではネットワークの中心にサーバーがあり、サーバーを介することで端末同士が取引していました。
サーバーや仲介役を不要とする仕組みを「P2P(ピア・ツー・ピア)」と呼びます。サーバーを経由しないため通信が混雑せず、処理速度が下がることもありません。
サービスの安定化
Web3では管理者を必要とせず、プログラミングされたとおりにサービスが提供されます。従来のWebサービスのように、定期的なメンテナンスが行われることも、そのたび一定の時間サービスを利用できなくなる心配もなくなります。
また、アクセス過多による通信制限や、システムダウンのリスクも低減し、安定的なサービス利用が可能です。
誰でもコンテンツを利用できる
日本国内にいると実感しづらいことですが、世界にはまだまだインターネットの利用を制限されている地域があります。Web3では国や組織による管理がなくなるため、誰もが公平に情報を取得・共有できるようになります。
なぜ今Web3(Web3.0)が注目を集めているか
Web3が注目を集めている背景には、以下のような理由が挙げられます。
- 個人情報への意識の高まり
- 技術の進歩
- 仮想通貨の普及
- 政府の方針
順番に見ていきましょう。
個人情報への意識の高まり
Web3が注目されるようになった背景のひとつに、プライバシー問題への関心の高まりが挙げられます。現に近年アメリカでは、GoogleやFacebookへの個人情報管理に関する訴訟が複数回起こっています。
(参照:日本貿易振興機構『個人情報保護法違反でグーグルに1億ユーロの罰金』
朝日新聞DIGITAL『顔データ「違法に収集」 米テキサス州当局、フェイスブック側を提訴』
産経新聞『ザッカーバーグ氏を提訴 米首都司法長官、情報流出』)
Web2ではサービス利用の際、名前やメールアドレスだけでなく、電話番号、住所まで入力しなければならないケースが散見されました。しかし、企業による情報漏えいや不正利用がたびたび取り沙汰されるようになり、ユーザーは情報の登録を避ける傾向が大きくなっています。
そこで、アカウント作成に個人情報の登録が不要となる、Web3の技術が注目されるようになりました。Web3では、仮想通貨で買い物するためのサービス「仮想通貨ウォレット」に登録しておくだけで、ほとんどのサービスを匿名で利用できます。
情報を提供する機会がなくなるので、情報漏えいや不正利用のリスクが低減するのです。
技術の進歩
Web3の実現を可能としたのは、何より技術の発達にあります。特にブロックチェーン技術の導入により、Web2が抱えていた課題の多くは解決できます。
ブロックチェーンとは、過去からの取引履歴を暗号技術により1本の鎖のようにつなげ、データを管理する技術です。「インターネット以来の革新」とも称され、情報の改ざんや悪用がほぼ不可能になりました。仮想通貨やNFTの普及も、ブロックチェーンによるものといって過言ではありません。
仮想通貨の普及
仮想通貨が普及したことも、Web3を大きく加速させました。基本的にWeb3での支払いは、仮想通貨で行われます。
仮想通貨が法定通貨のように広く扱われるようになるまでは、まだまだ時間がかかるでしょう。しかし、仮想通貨取引をしたことがある人は、近年飛躍的に増えています。仮想通貨がより一般的に普及すれば、Web3はさらに拡大すると予想されます。
政府の方針
2022年6月に内閣府が発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」では、分散型デジタル社会の実現に向けて、必要な環境を整備する旨を提言しました。また、NFTやDAO・Web3・メタバースの利用拡大に向けて、2023年には関連法案の提出を図るとの記載もあります。
他にも、以下の内容を行うことも定めています。
- セキュリティトークンでの資金調達に関する制度整備
- 暗号資産について利用者保護に配慮した審査基準の緩和
- 決済手段としての経済機能に関する解釈指針の作成
これらが政府によって本格的に動き出せば、国内のWeb3浸透に大きく貢献するでしょう。
もともと、日本はアニメや漫画、ゲームなど世界に誇るコンテンツを多く有しています。そういったものに、デジタル資産としての価値をもたせるNFTの活用は、Web3において世界にリードする可能性を十分秘めています。
Web3の環境整備は政府にとっても、我が国のビジネスを加速させる大きな意味をもつでしょう。
(参照:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」)
Web3(Web3.0)に活用されている技術
Web3に活用されている技術や、新たに生まれた概念について紹介します。
- Metaverse(仮想空間)
- NFT(非代替性トークン)
- DeFi(分散型金融)
- SocialToken(ソーシャルトークン)
- DAO(自律分散型組織)
Metaverse(仮想空間)
Metaverse(メタバース)とは、インターネット上の仮想空間のことです。インターネット上の仮想空間でアバターを用いてゲームをしたり、オンラインのイベントに参加したりします。
またメタバース上でグッズやアイテム、土地をNFTとして購入することができます。価値のあるNFTは、仮想通貨で売買できるケースもあります。
他にも就活生向けの合同説明会をメタバースで実施した事例や、後述するメタバース上にバーチャルECショップをオープンする事例などもあり、今後ますます生活に身近な存在となっていくでしょう。
(参照:PR TIMES「メタバース就活がついに本格化!CAREER THEATER 2022が、日本初の「メタバース合説」として開催。」)
NFT(非代替性トークン)
NFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)とは、デジタルデータにブロックチェーンを紐づけることで、作品としての唯一性をもたせる技術のことです。対象となるデータは、アート作品・音楽作品・写真など、多岐にわたります。
既存のデジタルデータは複製が容易にでき、誰が生み出したものか、また所有権を証明する手段はないに等しいものでした。NFTを活用するとデジタルデータの所有権を公的に証明でき、取引履歴も閲覧が可能になるため透明性が生まれます。
最近では、NIKEやサンリオといった大企業もNFTに参入を表明しました。NIKEに関しては「RTFKTxナイキダンクジェネシスCRYPTOKICKS」シリーズが、すでに人気を博しています。12,000点以上のアイテムが取引され、落札金額は10万ドル(約1,300万円)を超えました(記事執筆時点)。
(参照:CBC NEWS「Nike's new NFT sneakers selling for more than $100,000」)
DeFi(分散型金融)
DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)とは、金融機関や取引所などの中央管理者を不要とする金融サービスのことです。スマートコントラクトと呼ばれる技術により金融機能を自動化し、ユーザー同士の直接取引を可能にしました。
仲介役を挟まないので、手数料や取引にかかる時間の大幅な削減が可能です。また、取引はすべてブロックチェーン上で行われるため、取引の内容を誰もが確認でき、透明性の担保にもつながります。
SocialToken(ソーシャルトークン)
ソーシャルトークンはインターネット上で使われる、デジタル作品を販売する個人との売買や特定のコミュニティ内で取引するための、暗号化された資産のことです。
アーティストが報酬としてソーシャルトークンを受け取って仮想通貨に換えたり、コミュニティの運営者がメンバーに対して所属を示す証や特典として発行したり、さまざまな使われ方をします。
ソーシャルトークンを使うことで、クリエイターやコンテンツ製作者は特定の仲介者を挟まず、ファンと直接独自につながれます。ファンにとってはクリエイターを直接支援する選択肢が増え、クリエイターにとっても手数料がかかることなく、サポートを受けられるのです。
DAO(自律分散型組織)
DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)は技術というより、Web3によって新たに生まれた概念です。「株式会社の新しい形」ともいえるでしょう。
DAOは特定の管理者や所有者が存在しない組織で、同じ目的をもったメンバーが一定のルールのもとで意思決定を行います。DAOの構築にはブロックチェーンが活用され、世界中の人々が平等に参加できます。当然すべての取引や契約はブロックチェーン上に履歴が残り、公平性や透明性が担保されるのです。
Web3が活用されている業界
Web3は現段階において、主に以下の業界で活用されています。
- アート分野
- 音楽業界
- ゲーム業界
- 漫画・アニメ市場
- 小売業・ECサイト
これまでグラフィックアートや音楽、ゲームなどは簡単にコピーされ、漫画やアニメも海賊版や違法アップロードが問題視されていました。Web3の活用により、データの改ざんや悪用ができなくなるため、そういったコンテンツの本来の価値が損なわれないようになります。
また、小売・ECサイトに関しても、バーチャルストアやメタバースECが普及することが予想されます。実際にBEAMSやH&Mなど、アパレル各社では期間限定のバーチャルショップを開催しており、若い世代を中心に話題となりました。
(参照:PR TIMES『H&M、ブランド初となるバーチャル・ファッションを展開。限定ルックを体験できるコンペティションも。』
『3度目のBEAMSバーチャルショップはファッションのメタバース化を提案』)
また、毎年開催されている「バーチャルマーケット」は、世界最大のVRイベントとしてギネス世界記録も取得しています。(※バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数としてギネス世界記録に認定)
2021年12月に開催された「バーチャルマーケット2021」では、ローソンや丸井をはじめとする企業80社と601のサークルが出展し、来場者は世界中から100万人を超えました。バーチャルマーケットはアバター関連の3Dデータ商品だけでなく、リアル店舗での商品を実際に売買できます。
今後バーチャル上で世界中の店舗に赴き、仮想通貨を使って買い物をし、商品が実際に届く、といったことが一般的になる未来も想像できるでしょう。
Web3のサービス事例
Web3のテクノロジーを活用したサービス事例として、実際に多くのユーザーから支持されているものを業界別に紹介します。
- OpenSea(アート・音楽など)
- My Crypto Heroes(ゲーム)
- Brave(Webブラウザ)
- Uniswap(金融)
- ANIQUE(漫画・アニメ)
- REV WORLDS(小売業・ECサイト)
OpenSea(アート・音楽など)
Web3を代表するサービスのひとつが「OpenSea(オープンシー)」です。OpenSeaはNFTを売買できるマーケットプレイスで、対象はデジタルアートや音楽・写真・ドメイン名など多岐にわたります。
会員登録は必要なく、仮想通貨ウォレットを連携させるだけでサービスの利用が可能です。NFTの出展も気軽にでき、世界中から出品者や購入者が集まります。OpenSeaには西野亮廣や村上隆などの著名人もNFT作品を出品したことで、話題となりました。また、BAYC(Bored Ape Yacht Club)などといった世界的に人気を博しているNFTコレクションも取引されています。
My Crypto Heroes(ゲーム)
「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」は、日本で開発されたNFTゲームです。ゲーム内のアイテムやキャラクターはNFTによって作られており、入手したものはOpenSeaをはじめとするマーケットプレイスで売買できます。
「遊びながら仮想通貨を稼げる」と大きな話題を呼び、NFTゲームの代表格のひとつになりました。
Brave(Webブラウザ)
「Brave」は今後Web3を代表するであろう、次世代型のWebブラウザです。圧倒的なシェアを誇っているWebブラウザ「Google Chrome」に対抗するべく開発されました。2019年末のリリース後から、すでに5,000万ユーザーを獲得しています。
Braveは広告の表示・非表示を、自由に選択できるのが特徴です。広告表示をする場合、広告を閲覧した分「BAT(Basic Attention Token)」という仮想通貨を受け取れます。BATは、bitFlyerと連携することで日本円に換金したり、気に入ったWebサイトやクリエイターにチップとして支援したりもできます。
また、広告を非表示にする場合は高速通信が適用され、Google Chrome以上の高速ブラウザとして利用可能です。セキュリティ面も安全性が高く、不要な個人情報の取得をブロックし、ユーザーのプライバシー保護に重きを置いています。
Uniswap(金融)
Uniswap(ユニスワップ)は「DEX(Decentralized Exchanges)」と呼ばれる、分散型取引所のひとつです。従来の仮想通貨取引は、企業が運営する中央集権型の取引所が一般的でしたが、DEXには管理者が存在しません。
プログラムに基づいてユーザー同士で直接取引できるので、手数料が安いメリットがあります。また、ブロックチェーン技術により安全性が高く、本人確認が不要で気軽に始めやすいことも魅力です。
Anique(漫画・アニメ)
「Anique(アニーク)」はアニメ・漫画のアートワークのデジタル所有権を購入できる、NFTマーケットプレイスです。
Aniqueでは2019年に、人気アニメ「進撃の巨人」のアートワークが販売され、話題になりました。当時1〜6万円で抽選販売されたデジタル所有権は、現在高いもので50万円以上の評価額がついています。
これまで海外のアニメファンは、日本に来ないと原画が買えませんでした。しかし、こういったサービスが普及すれば、世界に唯一の作品をどこからでも購入・取引できます。また、クリエイターの新たな収入源にもなり、今後の展開にいっそう期待されています。
REV WORLDS(小売業・ECサイト)
三越伊勢丹のスマートフォンアプリ「REV WORLDS」は、気軽にメタバースに触れられ、新たな小売業・ECサイトの形を体験できるのでおすすめです。
アプリではメタバース上に、ひとつの街と新宿伊勢丹が再現されています。期間限定のコラボショップやイベントなども随時開催されており、実際の伊勢丹の店舗をバーチャル体験できるのが特徴です。
バーチャル上の店舗には、アバターに使える衣服や部屋の家具を買えるだけでなく、実際にリアル店舗の商品も並べられています。気になる商品をタップするとInstagramの投稿やECサイトに遷移し、そのまま商品の購入も可能です。
他ユーザーとのチャットや、友達同士で街の散策もでき、ただのECサイトの延長ではないこともポイントです。メタバース内の店舗はまだまだ増えるとのことなので、今後の展開も期待しましょう。
(参照:PR TIMES『VRを活用したスマートフォン向けアプリ 「REV WORLDS (レヴ ワールズ)」 の提供を開始』)
Web3(Web3.0)の今後の課題と展望
最後にWeb3が普及するために解決すべき課題と、解決した先に見えるであろう今後の展望をお伝えします。
Web3(Web3.0)が抱える課題
これからWeb3が一般層に広まっていくためには、いくつかの課題を解決しなければなりません。
Web3が抱える主な課題には、以下のものが挙げられます。
- ガス代がかかる
- 利用するには知識が必要
- スケーラビリティの課題
順番に見ていきましょう。
ガス代がかかる
NFTの取引は、基本的にイーサリアムのブロックチェーンによって行われます。そして、こうした取引の際には「ガス代」と呼ばれる手数料のようなものが発生します。
ガス代はそのときのイーサリアムの価格や、ネットワークの混雑状況によって変動し、金額は決して安いとはいえません。
今後NFT市場の活性化を図るなら、ガス代の低価格化は避けられないでしょう。しかし、現段階ではガス代によってセキュリティが担保されている側面もあるので、今後より良い環境に整備されることが求められます。
電力がかかる
Web3の技術を運用するためには、まだ多くの電力を消費するものがあるのが現状です。将来的な技術の進歩で解決するでしょうが、気軽に運用するにはハードルがありそうです。
利用するには知識が必要
Web3がさらに普及すれば生活はより便利になりますが、利用するためのハードルが高いことも課題のひとつです。
Web3の決済では基本的に仮想通貨を用いますが、仮想通貨ウォレットをもつことすらままならない層がいることも事実です。IT知識がない人でも気軽に始められ、便利さを享受できるような仕組み作りが、今後求められるでしょう。
また、そういったユーザーも安心してインターネットを使うためには、法の整備も不可欠です。
スケーラビリティの課題
上述してきたように、Web3ではユーザー間でネットワークを構築します。ブロックチェーンはすべての取引が全ユーザーに共有されるため、利用者が増えれば取引の負荷も増え、現状のネットワークで耐えられるのかという懸念があるでしょう。
システムやネットワークが、規模・利用負荷の増大に対応できる度合いのことをスケーラビリティといいます。Web3の普及にはスケーラビリティを従来よりも高く設定する、もしくは負荷を減らすといった、何らかの対策が不可欠です。
今後スケーラビリティの課題に対し、どのような解決を導くのか注目が集まっています。
Web3(Web3.0)の今後の展望
最後にWeb3の普及による今後の展望を一部紹介します。特筆すべき事項として、DeFiとDAOについて見ていきましょう。
DeFiの普及
今後の展望としては、まずDeFiの普及が期待されます。上記でも触れたように、DeFiは中央管理者や金融機関を不要とする金融システムです。Web3の普及には暗号資産取引の活発化が避けられず、そのためにはDeFiのさらなる環境整備が求められます。
また、業種を問わず企業が今後Web3を推進させていくなかで、トークン経済圏の構築・拡大は不可欠です。そうすると、おのずとあらゆる企業がDeFiを適切に理解し、活用せざるを得ない状況も生まれかねません。
結果として、身近な多くの企業がトークンやDeFiを活用することで一般層まで浸透し、広く扱われるようになる未来は、そう遠くないと考えられます。
経営・運営の幅が広がる
従来の経営の形と異なるDAOという概念が生まれ、ビジネスへの参入障壁が下がることも考えられるでしょう。また、すでにある組織やコミュニティがWeb3の発展にともない、DAO化していくこともあり得ます。
DAOの活用により、これまで以上に個人レベルで「やってみたい」と思ったことに対して、貢献者を募ったり、関係者を巻き込んだりしやすくなります。結果として世界中でビジネスが活性化し、経済循環に良い影響を与えるきっかけになることも考えられるでしょう。
Web3(Web3.0)のテクノロジーを活用するには日々情報のアップデートが重要
Web3の実現は、セキュリティの向上や誰もが自由な取引・情報共有をできるメリットがあります。一方で、まだまだ法整備が整っていないことや、利用のハードルが高いといった、課題やデメリットも拭えません。
しかし、政府の積極的な取り組みや企業の参入も相次ぎ、今後一般に広く普及していくことが予想されます。Web3は世界中が抱えてきた従来の課題を解決し、私たちの暮らしをより良くする可能性を秘めています。
今後の展開に期待するとともに、日々進んでいる技術の発達に乗り遅れないよう、情報を日々アップデートしましょう。