メタバースとは、インターネット上の仮想空間のことです。近年急速に注目を集めており、ゲームやアプリで触れたことがあるという方も増えました。最新技術の代表格に並べられるケースも散見されますが、はじまりは2000年初期だったことをご存じでしょうか。
本記事では、メタバースの特徴や近年注目を集めている背景、投資の観点から見たメタバース、実際の始め方、課題、具体的な事例など、幅広く解説します。
ゲーム分野での活用が目立っていたメタバースですが、最近ではビジネスツールやメタバース上での売買取引も増え、今後ビジネスシーンでもますます活用されることでしょう。ゲームに興味のない方にとっても、生活に身近な存在になる可能性があります。本記事を参考に、メタバースの今後の普及に備えて理解を深めましょう。
メタバースとは?語源や特徴
メタバースとは、インターネット上に存在する三次元の仮想空間を指します。もともとは「meta(超越・高次の)」と「universe(宇宙)」を組み合わせた造語です。1992年にアメリカのSF作家ニール・スティーブンスンが発表した「スノウ・クラッシュ」という小説のなかで使われたのが最初です。
メタバースは自身のアバターを操作することで、仮想空間上の他者とコミュニケーションを取ったり、ビジネス取引を行ったりします。
具体的には「Minecraft」や「フォートナイト」といったゲームで使われている技術です。また、細田守監督の映画「サマーウォーズ」でもインターネット上の仮想空間が描かれました。コロナ禍以降は、オンライン上でのライブイベントや企業の展示会などでも、メタバースを使う機会が増えています。
最近では、元Facebook社のCEOマーク・ザッカーバーグが「今後メタバース事業に注力する」と発表し、社名をMeta(Meta Platforms, inc.)に変更したことが話題になりました。YouTubeも公式ブログ内で、メタバースによりさらに没入感のある試聴体験をめざす旨や、まずはゲーム分野での参入を検討しているとの記載がありました。
メタバースは近年、ゲームやイベントといった娯楽以外でも、会議やバーチャル上のオンラインショップなどビジネスでも使われることが増え、今後ますます身近な存在となることが期待されています。
(参照:日本経済新聞『フェイスブック社名変更、新たなITトレンドの前触れかYouTube Official Blog『A Look at 2022: Community, Collaboration, and Commerce』)
メタバースとVRの関係性
メタバースと混同されがちなものに、VRが挙げられます。両者に関連性はありますが別物であり、メタバースは仮想空間やそれに関連するサービスを指し、VRは仮想空間をより立体的に楽しむための技術・手段です。
VRの発達によりメタバースがさらにリアリティのあるものへと進化したので、両者は密接に関わっているといえます。
メタバースはなぜ注目されている?
実はメタバースは2003年に「セカンドライフ」というゲームで実装され、一時世界的ブームとなりました。また、2009年にはアメーバブログ内の仮想空間で、ユーザー同士が交流できる「アメーバピグ」というサービスも生まれ、初の和製メタバースともいわれています。
しかし当時は現在と異なり、サーバー環境や技術がそこまで発展しておらず、世界的ヒットを果たした「セカンドライフ」も1年程度で衰退してしまいました。
近年では再びメタバースが急速に再興し、前回以上に人々の生活に浸透しようとしています。メタバースが注目されている主な理由や背景を解説します。
- VR技術の進歩
- NFTや仮想通貨の普及
- コロナ禍によるコミュニケーションの多様化
- メタバース関連銘柄に期待が集まっている
VR技術の進歩
初期のVRゴーグルは重く高価なものがほとんどで、三次元空間の解像度も高くはありませんでした。しかし近年ではVRゴーグルの軽量化やワイヤレス化が進み、低価格な商品も増えています。
また、VR技術自体も進化し、アバターの操作も身ぶり手ぶりや顔の表情など現実に近い動作が可能に。同時にVR関連のサービスが一気に増え、メタバースも注目されるようになりました。
VRゴーグルの年間出荷台数を見ても、2017年には35万台程度でしたが、2021年には72万台となり、今後も増え続けるでしょう。
(参照:総務省『第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長』IT Leaders『VR/AR/MRヘッドマウントディスプレイの2021年国内出荷台数は72万台、VR向けが大半─矢野経済研究所』)
NFTや仮想通貨の普及
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は「複製や改ざんができない、唯一無二の価値をもつデジタルデータ」のことです。メタバース上ではNFTを作成したり、仮想通貨で取引したりできます。
メタバースでのビジネスが加速するようになったのは、NFTや仮想通貨が近年急速に進歩し、普及したことも関係しています。
コロナ禍によるコミュニケーションの多様化
新型コロナウイルスの影響により、オンラインコミュニケーションが急激に進化しました。
感染拡大防止の観点からもイベントがメタバース上で行われるケースが増え、また、よりリアリティのあるコミュニケーション需要が高まりました。
そういったニーズに対して、いっそう快適なオンラインコミュニケーションができるツールとして、メタバースが注目されています。
メタバース関連銘柄に期待が集まっている
市場情報調査を行っているEmergen Research社によると、2020年の世界のメタバース市場規模は476.9億ドルであると発表しました。さらに、今後年平均43.3%で成長を続け、2028年には8,289.5億ドルに達する見込みであることも述べています。
前述したFacebookの社名変更にともない、世界中のあらゆる企業・業界がメタバース分野に参入し、先のレポートのようにますます市場活性化に期待が集まるでしょう。同時に株式市場においてもメタバース関連銘柄が脚光を浴び、世界中の投資家たちが今後の動きを注視しています。
具体的には、元Facebook社で後述するメタバースを用いた会議ツール「Horizon Workrooms」や、高性能VRヘッドセット「Oculus Quest2」が人気を博しているMeta Platforms社。ゲーム用のCG・3Dを用いたグラフィックを扱う海外大手のNvidia(エヌビディア)社。国内企業では、メタバースへの本格参入と100億円の事業投資を発表したGREE(グリー株式会社)が注目されています。
また、近年では個別銘柄以外にも、メタバース関連のETFも登場しました。代表的なものは「グローバルX メタバース ETF(VR)」です。上記のMetaやNvidiaをはじめ、Coinbase、日本からは任天堂が上位10銘柄に組み入れられています。
(参照:PR TIMES『2028年に8,289億5,000万米ドルに達する世界のメタバース市場規模』グリー株式会社『グリー、メタバース事業に参入』)
メタバース関連の新技術とは?
前項でも触れたように、メタバースが再興した背景にはNFTや仮想通貨などの最新技術の進化が挙げられます。これらの進歩によって、仮想空間での売買や取引がしやすくなり、ビジネスとしても活用されるようになりました。
本項ではブロックチェーンとNFTについて紹介します。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、暗号技術によって取引の履歴を鎖のようにつなげ、記録していく技術です。ブロックチェーンを活用することで、不特定多数の参加者に対して全員の取引履歴が共有され、また鎖のように続いていることから記録の改ざんや破壊は困難です。
また、すべての参加者がデータを分散して保有するので、一部の障害によってシステムダウンする可能性も低くなります。
メタバース上ではユーザーや企業が自由にデジタル資産を取引・保有し、こういった取引や所有の記録はブロックチェーン上に残ります。つまり、ブロックチェーン技術により、デジタル資産の正当な取引が可能になり、従来では防止が難しかったデジタル資産そのものや取引履歴の改ざんも防げるようになるのです。
ブロックチェーンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
>>「ブロックチェーンとは?」
(一般社団法人 全国銀行協会『ブロックチェーンって何?』)
NFTとは
NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)は、ブロックチェーン技術の活用により唯一無二の価値をもつデジタル資産です。従来の画像や音楽といったデジタルデータは複製や改ざんが容易であり、また所有権の証明は困難でした。
一方で、NFT技術を活用するとデータの複製はできず、さらには原作であることや所有権の証明も可能です。つまり、アート作品の原画やサイン入りCDのような、世界にひとつしかない価値が付与されます。
メタバース上ではアバターが使用するアイテムや土地、デジタルアートなどのデータを取引しますが、NFTによりそういった資産の価値が明確化するので、安心して取引できるようになります。
NFTについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
>>『NFTとは?各業界での事例や取引の方法、今後の課題を解説!』
メタバースの活用シーンと具体例
メタバースは現在あらゆる分野での活用が始まっています。本項ではSNSのように楽しむ場合やゲーム、ビジネスなど用途ごとにどのようなサービスがあるのか、具体的に紹介します。
- メタバースの世界を気軽に体験するなら「cluster」
- SNSのような感覚で楽しむなら「VRchat」
- メタバースゲームの代表格「FORTNITE」
- NFT取引ができるゲーム「Decentraland」
- 土地の売買ができるゲーム「The Sandbox」
- メタバース会議システム「Horizon Workrooms」
- バーチャルショッピングを楽しめる「REV WORLDS」
メタバースの世界を気軽に体験するなら「cluster」
cluster(クラスター)は日本の企業クラスター株式会社が運営する、メタバースプラットフォームです。VRヘッドセットをはじめとする特別な機器や仮想通貨を必要とせず、デバイスもパソコン・スマートフォンなど自由に選べます。その気軽さから、まず初心者が本格的なメタバースの世界を体験するなら、clusterがおすすめです。
clusterではアバターを使って、仮想空間上での交流やゲーム・イベントに参加します。また、KDDIと自治体が連携して実際の街並みを再現した「バーチャル渋谷」や「バーチャル大阪」の登場も話題になりました。
他にも「ワールド」と呼ばれる仮想空間には仮想の観光地やアスレチックなどがあり、日々空間自体の変化も楽しめます。
日本製のサービスのため操作がわかりやすく、比較的迷うことなく遊べるでしょう。また、VR機器がなくても楽しめますが、専門機材があればいっそうリアリティのある仮想空間に没入できます。
clusterのトップページはこちら
SNSのような感覚で楽しむなら「VRchat」
VRchatも初心者におすすめする、メタバースプラットフォームのひとつです。VRchatはVRゴーグルとコントローラーを用いて参加する、体験型プラットフォームです。アバターを作って世界中の人と交流したり、コミュニティを形成したり、SNSのような使い方ができます。
また、VRchatではイベントや企業の展示会もたびたび開催されています。世界最大級のバーチャルイベント「バーチャルマーケット」もVRchatで開催され、世界中から100万人以上が来場し、ブース出展数はギネス世界記録を取得しました。
過去にはサンリオ主催のバーチャル音楽フェスや、日産自動車のバーチャル展示会もVRchatで開催されました。日本向けの直近のイベントが確認できるイベントカレンダーもあるので、興味ある方はこちらもご確認ください。
VRchat公式ページはこちら
(参照:株式会社サンリオ『サンリオバーチャルフェス』日産自動車ニュースルーム『日産自動車、バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」を公開』)
メタバースゲームの代表格「FORTNITE」
FORTNITE(フォートナイト)は仮想空間のなかでシューティングやバトルロワイヤルを楽しんだり、ゲームや建造物を作成したり、自由度の高い体験が特徴的なゲームです。
また、過去には星野源や米津玄師のライブイベントも開催され、米津玄師のライブには約50万人が視聴したといわれています。ユーザー同士の交流やイベント参加、ゲーム、創作活動など、メタバースゲームの楽しさをひと通り満喫できます。
FORTNITEの公式サイトはこちら
(参照:NIKKEI STYLE『米津玄師がFORTNITEに登場 ゲーム空間でライブを体感』FORTNITE『フォートナイトのサウンドウェーブシリーズで星野源の心に響くショーを視聴しよう』)
NFTを取引できるゲーム「Decentraland」
Decentraland(ディセントラランド)は、NFT化されたアイテムやコンテンツの売買ができるブロックチェーンゲームです。アバターに使うアイテムやパーツだけでなく「LAND」と呼ばれるメタバース上の土地の売買もできます。
そういった取引が増えていることを受けて、アメリカ最大規模の銀行JPモルガン・チェースはDecentraland内に、同銀行の仮想ラウンジを開設しました。同行は今後メタバース上でも、クレジットや住宅ローンなどのサービス需要が増えることを見越しています。
他にもコカ・コーラ社がDecentraland内で着用できるジャケットのNFTを発表したり、アメリカの大手老舗ゲームメーカーATARI社がゲーム内にカジノを立ち上げたりと、続々と世界的大企業が参入しています。今後も有名企業の参入に期待しましょう。Decentraland公式サイトはこちら
(参照:BUSINESS INSIDER『JPモルガンもメタバースに進出…ディセントラランドにラウンジを開設』
コカ・コーラジャパン『「コカ・コーラ」が初のNFTコレクターズアイテムのオークションを国際フレンドシップ・デーに開催』
Decentraland『Atari Casino Launch Party - Live Performance by Dillon Francis』)
土地を売買できるゲーム「The Sandbox」
不動産取引が活発なメタバース関連ゲームといえば、The Sandboxも代表格のひとつに挙げられます。中国発のメタバースプラットフォームであり、Minecraftを連想させるようなつくりが特徴です。
Minecraftとの違いは、ゲーム内でNFTアイテムを作って売買したり、ゲーム内の土地を使って不動産取引や賃貸収入を得られたりする点です。
ゲーム内の土地価格の上昇にともなって取引に使われる仮想通貨「SAND」の価値が上がれば、今後の収益も大きく伸びることが予想されます。
The Sandboxの公式サイトはこちら
メタバース会議システム「Horizon Workrooms」
Horizon Workroomsは元FacebookのMeta社による、仮想空間で会議ができるサービスです。従来のオンライン会議システムと異なり、会議室のなかでアバター同士がテーブルを囲んで話し合うことで、よりリアリティのあるリモート会議ができます。
昨今ではリモートワークが一般化しましたが、同僚が隣にいない孤独感を感じることや、同じ空間にいないグループでの会話に苦手意識をもつ人も少なくありません。
Horizon Workroomsではジェスチャー機能やバーチャルホワイトボードもあり、パソコン・キーボードも仮想空間内に持ち込めます。リモートでの共同作業においてクリエイティブな業務を効率良くこなすのに適しています。
Horizon Workroomsの公式サイトはこちら
バーチャルショッピングを楽しめる「REV WORLDS」
REV WORLDSは伊勢丹新宿が提供するスマートフォンアプリです。専用機器なしで、アプリをダウンロードするだけで利用可能です。
REV WORLDSではバーチャル上の新宿で伊勢丹新宿本店が営業しており、ネットショッピングが楽しめます。バーチャル上で使えるアイテムだけでなく、気になった商品はそのままオンラインショップから購入でき、実際に家に届きます。期間限定で芸能人やアーティストとのコラボショップも出店しており、いつでもどこからでも伊勢丹での買い物が楽しめるのが魅力です。
今後こういったサービスが増えれば、世界を含む各地方の欲しいものを気軽に購入でき、リアリティのあるウィンドウショッピングを家から楽しめる未来が想像できるでしょう。これからの小売やECサイトの形に期待が広がります。
REV WORLDSの公式サイトはこちら
メタバースの始め方
メタバースを試す場合に、何から始めれば良いのか順を追って見ていきましょう。サービスによっては不要な箇所もありますが、下記の工程をすべて踏めばどのサービスにも対応できます。
不要な工程は飛ばしても構わないので、用途に合わせて準備を始めましょう。
- VRキットを準備する
- 仮想通貨取引所に口座を開設し、仮想通貨を入手する
- 海外取引所の講座を開設し、仮想通貨を換金する
- ウォレットを作成し、仮想通貨を送金する
- メタバースプラットフォームとウォレットを連携する
1.VRキットを準備する
上記のclusterやREV WORLDSのように、VRキットが不要なメタバースプラットフォームもありますが、よりリアルな没入感を楽しむならVRキットを準備しましょう。近年のVRゴーグルは数年前と比べると、手を出しやすい金額のものも増えました。
まずはVRキット不要のプラットフォームから始めて、本格的に楽しみたいと思えば買ってみると良いでしょう。
2.仮想通貨取引所に口座を開設し、仮想通貨を入手する
メタバースでアイテムやNFTを取引する場合、仮想通貨が必要です。仮想通貨を日本円で買うためには、仮想通貨取引所を利用しましょう。具体的には、コインチェックやbitFlyerなどが挙げられます。
3.海外取引所の口座を開設し、仮想通貨を換金する
使いたいサービスによっては、国内取引所にないコインが必要な場合があります。例えば、Decentralandに必要なMANAは、記事執筆時点(2022年8月)では国内取引所での取り扱いがありません。通貨の種類が豊富なBINANCEやBybitといった海外取引所を活用しましょう。
ただし、The SandboxのSANDも以前は国内取引所での取り扱いがなかったものの、2022年5月からコインチェックで買えるようになりました。需要の増加に合わせて、今後国内取引所でも買えるコインは増えるでしょう。
(参照:コインチェック株式会社『暗号資産SAND(サンド)とは?『The Sandbox』トークンの気になる今後・将来性を解説!』)
4.ウォレットを作成し、仮想通貨を送金する
仮想通貨が手に入れば、メタバース内で使えるように仮想通貨ウォレットに移します。ウォレットはMetamaskがおすすめです。Metamaskは口座開設のような工程を必要とせず、Google Chromeの拡張機能としてダウンロードすればすぐに使えます。
ウォレットが開設できれば、取引所内の仮想通貨をウォレットに送金します。このとき送金先のウォレットアドレスを、間違えないよう注意が必要です。入力ミスで資産を失ってしまうケースが多々あるので、手入力ではなくコピーアンドペーストで確実に入力しましょう。
5.メタバースプラットフォームとウォレットを連携する
仮想通貨ウォレットが使える状態になれば、メタバースプラットフォームと連携します。基本的にプラットフォームのトップページから設定を開始し、案内どおりに入力を進めていくと連携できるものがほとんどです。
あとはメタバース上での交流やビジネス利用など、仮想空間を楽しみましょう。
メタバースの課題と将来性
最後にメタバースがますます普及していくうえでの課題や、将来性について考えましょう。
メタバースが抱える課題
メタバースが抱える主な課題には、以下のものが考えられます。
- 敷居の高さを感じているユーザーが多い
- 法整備が不十分
- メタバース空間への依存性の高さ
敷居の高さを感じているユーザーが多い
メタバースを十分に楽しむためには、優れたネット環境やVRキット、仮想通貨、さらには処理速度の観点から高性能なパソコンなども必要です。残念ながら、従来のゲームソフトのように単純にアプリをダウンロードしたり、ゲームソフトを購入したりするだけでは始められません。
準備に手間や費用がかかることが敷居の高さを感じさせ、足踏みしてしまっている方も散見されます。メタバースが今後さらに身近な存在になるにつれて、気軽に始めやすくなることが予想されるのでこれからに期待しましょう。
また、専門機器や仮想通貨のいらない、スマートフォンだけで気軽に楽しめるclusterのようなプラットフォームもあるので、そういったサービスが増えることも考えられます。
法整備が不十分
メタバースを含むWeb3は歴史の浅い新領域であり、まだ法の整備が追いついていないことも課題のひとつです。現状デジタル資産の盗難や詐欺の被害にあったとしても、法律で裁くことは難しく、自己責任となっているのが実情です。
ただし政府は「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」のなかで今後メタバースを含め、NFTや仮想通貨関連の普及をめざす旨を記載しており、それにともない法律も整備されることが期待されています。
メタバース空間への依存性の高さ
メタバースの仮想空間は依存性が高く、その没入感にのめり込んでしまう恐れがあります。もともと子どものゲーム依存症はたびたび問題視されていましたが、メタバースを用いたゲームはさらに依存度が高くなるでしょう。
コロナ禍以降、対面での遊びが難しくなり、友人たちと「放課後はメタバースで集合」といった遊び方も増えています。子どもにメタバースを用いたゲームをさせる場合は、利用時間を明確に定めるといった家族内の取り決めが重要です。
メタバースの将来性
前項のとおり、メタバースはまだ新領域であり課題もありますが、大きなビジネスチャンスを秘めており、今後ますます拡大するでしょう。
理由としては、数多くの企業がメタバースへの進出を始めていることが挙げられます。Web2時代を牽引してきたGAFAMの1社、Facebook社(現Meta社)がメタバースへの注力を発表したように、これから世界中の企業がメタバースに続々と参入するでしょう。
メタバースに参入する企業が増えるにつれて魅力的なサービスが生まれ、関心をもつ人が増えます。同時に前項の課題の項目で述べた、参入への障壁は次第に低くなり、法の整備も急がれるようになるでしょう。
また、先述の「バーチャル渋谷」のように自治体と企業の連携による、メタバースを使った観光産業も全国的に活発化する可能性があります。さらには、バーチャル図書館やバーチャル役場などの公共サービスが生まれ、生活に根付いていくことも考えられます。
メタバースはゲームやSNSといった娯楽だけでなく、私たちの生活を一段階引き上げ、より便利な社会形成にも役立つでしょう。今後のメタバースの普及に期待しましょう。
メタバース市場はこれからますます発展が予想される
メタバースはVRやブロックチェーンなどの最新技術の発展により、近年急速に注目を集めています。最近ではゲームだけでなく、ビジネスや取引にも使われる機会が増え、これからいっそう私たちの生活に根付いていくことが予想されるでしょう。
今後ますますの普及をめざすうえでは、法整備が不十分な点や、敷居の高さなど課題もあります。しかし、大企業の参入やより良いサービスがますます生まれることで、関心をもつ人が増えれば、主な課題は徐々に解決へと向かい、より成熟した市場へと変わっていくでしょう。
今後の動向を注視しながら、メタバースによりさらに生活が便利になることを期待しましょう。